この記事は、Quickryの法務担当がまつげサロン向けに表現ルールを整理した一次情報です。ただし、製品の区分(化粧品か雑貨か)や届出内容、行政の最新通知によって「言える範囲」は変わります。「これで完全に安全」と断言できるものではなく、重要な判断は薬機法にくわしい専門家・弁護士への確認をおすすめします。
なぜ、まつげ美容液の表現はこんなに注意が要るのか
まつげ美容液や店販アイテムをホームページ・SNS・店頭POPで紹介するとき、その言葉は2つの法律の対象になります。
- 薬機法(医薬品医療機器等法):化粧品・雑貨で「言っていい効果の範囲」を決めている法律。範囲を超えると「承認していない医薬品の広告」とみなされ得ます(規制の全体像は厚生労働省「医薬品等の広告規制について」参照)。
- 景品表示法(景表法):実際より良く見せる表示(優良誤認)や、根拠のないNo.1表示などを禁止する法律(消費者庁「景品表示法」参照)。
過去には、まつげ美容液について「2週間でまつ毛が伸びる」といった効能をうたい、根拠が不十分だとして優良誤認と判断され、行政から措置命令が出された事例があります(一例:消費者庁 措置命令・令和3年6月3日(PDF)=「2週間でまつ毛が伸びる」等の自社サイト表示が景品表示法違反とされたもの)。措置命令が出ると、表示の差し止めや再発防止の公表を求められ、サロンの信用に直接ひびきます。「小さなサロンだから大丈夫」ではなく、HPやSNSは誰でも見られる"広告"である以上、同じルールが適用されます。
前提:まず「その商品が何なのか」で言える範囲が変わる
一番の落とし穴がここです。同じ「まつげ美容液」でも、商品の区分によって言えることが違います。
- 化粧品として届出されているもの → 化粧品として認められた効能効果の範囲でだけ訴求できる。まつ毛まわりだと一般に「まつ毛を保護する」「毛髪にうるおいを与える」といった保護・保湿レベルの表現が中心です。
- 雑貨(化粧品ではない)として売られているもの → 化粧品ですらないため、体への効果を語ること自体が原則できません。
つまり「伸びる」「増える」「育つ」といった育毛・発毛の効果は、化粧品でも雑貨でも言えないのが基本線です(発毛・育毛は医薬品・医薬部外品の領域)。まず、自分が売る商品がどの区分かをメーカーの届出情報や商品表示で確認してください。迷ったら仕入れ元・メーカーに区分と「使える効能効果の範囲」を必ず確認しましょう。
OK/NG表現 一覧表(この記事の本体)
以下は「一般的に指摘されやすいNG例」と「比較的許容されやすい言い換え」の対応表です。言い換え側も"絶対安全"ではなく、商品区分・根拠資料の有無で最終判断が変わる点にご注意ください。
薬機法(効果・効能の表現)
| NG例(使わない方がよい) | なぜNGか | OKな言い換えの方向性 |
|---|---|---|
| まつ毛が伸びる | 発毛・育毛効果の標ぼう。化粧品・雑貨の範囲を超える | ハリ・コシのある印象へ/自まつ毛を保護する |
| まつ毛が増える/濃くなる | 育毛効果の標ぼうにあたる | 目もとの印象を華やかに見せる(メイク・演出の話として) |
| まつ毛が育つ/育毛 | 医薬品・医薬部外品の領域 | まつ毛をすこやかに保つケア習慣(効能断定を避ける) |
| 発毛を促す | 医薬品の効能。化粧品では不可 | まつ毛を乾燥から守る(化粧品の保護・保湿の範囲) |
| まつ毛が強くなる/切れなくなる | 身体の機能改善の標ぼう | キューティクルをなめらかに整える(保護目的の表現) |
| これを使えばエクステが長持ちする(効果断定) | 効果の断定・保証 | エクステと併用しやすい設計/使用感の紹介にとどめる |
※化粧品として使える表現でも、「まつ毛」への効能効果は化粧品の効能リストで細かく限定されます。表現に自信がない場合は、メーカーが確認済みの公式の広告表現をそのまま使うのが安全です。
景品表示法(比較・根拠・体験談の表現)
| NG例(使わない方がよい) | なぜNGか | OKな言い換え・扱い方 |
|---|---|---|
| No.1/人気No.1/売上No.1 | 客観的な調査根拠がないと不当表示(No.1表示は根拠必須) | 根拠がなければ使わない。使うなら調査機関・時期・範囲を明記 |
| 効果を保証/必ず結果が出る | 効果の保証は優良誤認・過度な断定 | 「個人差があります」を明記し、断定を避ける |
| 絶対/確実/100% | 根拠のない断定表現 | 「〜な方が多いです」等、事実の範囲で表現 |
| ビフォーアフター写真を加工・演出して効果を強調 | 実際より良く見せる優良誤認のおそれ | 同一条件で撮影し、加工しない。使用条件・期間を添える |
| お客様の声を効果の証明として使う | 体験談で効能を保証したと受け取られる | 「個人の感想であり効果を保証するものではありません」を明記 |
| 最安値/業界最安 | 根拠・調査時点がないと不当表示 | 価格は時点と条件つきで客観的に |
サロンHP・SNS・店頭POPで共通して使えるチェックリスト
- 商品の区分(化粧品/雑貨)を確認し、その範囲を超える効果を書いていないか
- 「伸びる・増える・育つ・発毛」など育毛・発毛系の言葉を使っていないか
- 「No.1・最安・絶対・必ず・保証」など根拠が要る断定をしていないか
- ビフォーアフター写真は同一条件・無加工で、使用条件と期間を添えているか
- お客様の声に「個人の感想・効果には個人差」の注記があるか
- メーカー・仕入れ元が示す公式に確認済みの表現を優先して使っているか
- 迷った表現はそのまま載せず、一度専門家に確認しているか
表現に迷ったら、載せる前に相談を
まつげ美容液・物販の表現は、たった一語で「アウト」になることがあります。逆に、正しい言い換えを知っていれば、魅力はきちんと伝えつつ法律の範囲内でHP・SNSを作れます。
Quickryはサロン専門のWeb制作として、HP・SNS・POPの文言を法務目線でチェックしながら制作します。表現に不安がある方は、無料相談でお気軽にお問い合わせください(内容によっては、薬機法の専門家・弁護士への確認をご案内する場合があります)。
※本記事は一般的な整理であり、個別の商品・表示についての法的助言ではありません。最終的な判断は、商品区分・届出・最新の通知をふまえ、薬機法にくわしい専門家・弁護士にご確認ください。
