結論:解約の連絡より先に、ドメインの名義と「今の契約に何が入っているか」を確かめる
ホームページの制作会社や管理会社を乗り換えたいと思ったとき、最初にしたくなるのは「解約したい」と伝えることかもしれません。けれど、最初の一手は連絡ではなく、手元での確認です。
確かめるのは次の3つです。
- ドメインの名義:御社のホームページのアドレス(〇〇.jp や 〇〇.com)が、どの事業者で、誰の名義で登録されているか
- 今の契約に入っているもの:サイトを置いているサーバー、メール、ドメインの管理が、今の契約の中に含まれているか
- サイトのデータ:今のサイトのデータを渡してもらえるか、どの範囲で、いつまでに
この3つが分かれば、何から手を付ければよいか、どこで今の会社の手を借りる必要があるかが見えてきます。この記事では、乗り換えの一般的な順番、名義とデータの確かめ方、契約書で確認しておく項目、かかるお金の分け方を順にまとめます。後半では、当社Quickryの出口の条件(やめるとき・移すときの条件)も数字で公開しています。
なぜ、先に解約するとサイトやメールが止まることがあるのか
ホームページもメールも、ドメインの登録と、サーバーの用意と設定がそろってはじめて動きます。日本のドメイン(.jp)を管理しているJPRSは、ドメインをホームページやメールアドレスで使うには、Webサーバーやメールサーバーなどの用意と設定が必要だと説明しています。さらに、「急にWebやメールが使えなくなった」という質問への答えとして、更新の手続き漏れなどでドメインが廃止された場合や、ネームサーバー(ドメインと置き場所を結ぶ設定)の設定が外れた場合、サーバーのトラブルを、主な原因に挙げています(出典:JPRS「よくある質問(ドメイン名の利用)」)。
つまり、今の契約にサーバーやメール、ドメインの管理が含まれている場合、その契約が終わると、サイトやメールが使えなくなることがあります。移す先の準備ができる前に契約の終わりの日が来てしまうと、そのあいだ、サイトが表示されない・メールが届かないといった状態になりかねません。
もう一つ、気をつけたいのがドメインそのものを手放す場合です。JPRSは、ドメインを廃止すると一定の期間のあとに第三者がそのドメインを登録できるようになり、詐欺サイトやなりすましのメールに悪用されるおそれがあると注意を呼びかけています(出典:JPRS「ドメイン名の廃止に関する注意」)。乗り換えのついでにドメインを変える場合も、古いドメインはすぐに手放さないほうが安全です。
乗り換えの一般的な流れ
一般的には、次の順番で進めます。今の契約の定めの中で、サイトとメールを止めないための順番です。
- 今の状態を確かめる:ドメインの名義と管理のアカウント、サーバー、メール、サイトのデータ、契約書の定め
- 移す先を決めて、新しい置き場所を用意する:新しい制作会社・サーバー・メールの準備
- サイトのデータの控えを受け取る:今の会社から受け取る、または管理画面から書き出す
- ドメインの管理を御社の手元に移す:管理する事業者を移す、または管理画面の権限を受け取る
- 新しい置き場所へ切り替えて確かめる:サイトの表示と、メールの送り・受けの両方
- 今の契約を、契約の定めに沿って終える:解約のご連絡の期限と方法を守って
6の「終える」は、今の契約が終わる日のことです。解約のご連絡そのものは、契約の定めによっては1〜5の途中でする必要があります。たとえば「契約の終わりの◯か月前までに連絡する」と決まっていれば、ご連絡はその期限までにし、契約が終わる日までに1〜5を終えられるよう日程を組みます。期限を過ぎると、定めによっては契約の続く期間が延びることがあります。
ドメインの管理を別の事業者へ移す手続きには日数がかかります。JPRSは、日本のドメインの管理事業者を変える手続きは開始から終了まで数日程度かかる場合があるとし、手続きに使う認証コード(ドメインごとのパスコードのようなもの)には35日の有効期限があると案内しています(出典:JPRS「ドメイン名の管理指定事業者の変更」)。日程には余裕をもたせてください。
35日
「.jp」のドメインを別の事業者へ移す手続きで使う認証コードの有効期限(JPRSの案内)
名義とデータの確かめ方
ドメインの名義を確かめる
- 〇〇.jp のドメイン:JPRSの検索サービス「JPRS WHOIS」でドメインを入れると、登録者の情報が表示されます
- 〇〇.com などのドメイン:公開の検索では、登録者の名前が伏せられて表示されることがあります(世界のドメインのルールを決めているICANNの方針で、個人情報などを伏せることが認められているためです。出典:ICANN「Registration Data Policy」)。その場合は、ドメインを管理している事業者の管理画面や、更新費用の請求書・領収書の宛名で確かめます
「名義」と「管理するアカウント」は別もの
ドメインの登録の名義が御社になっていても、そのドメインを管理する事業者のアカウント(管理画面)が、制作会社のものになっていることがあります。この場合、名義は御社でも、設定を変えたり事業者を移したりする操作は、制作会社のアカウントからしかできません。確かめるのは「名義は誰か」と「管理画面に御社が入れるか」の2つです。
名義が御社でないと、手順が一つ増える
日本のドメインで管理事業者を移す手続きは、登録者(名義人)が今の事業者に認証コードを確かめ、移す先の事業者に申し込み、今の事業者からの意思確認に「承認」と回答する、という流れです(出典:JPRS「ドメイン名の管理指定事業者の変更」)。〇〇.com などのドメインでも、登録者を変えるときは、今の登録者に確認が求められます(出典:ICANN「Registrant FAQs」)。
名義が御社の場合
- 御社が認証コードを確かめ、移す先に申し込み、承認する
名義が御社でない場合(制作会社など)
- 今の名義人に手続きをしてもらうか、先に名義を御社へ変える手続きが要る。どちらも今の名義人の協力が必要
名義が御社でない場合は、早めに今の会社へ「ドメインの名義と管理をどうするか」を相談しておくほうが、日程を組みやすくなります。今の契約でドメインの扱いがどう決まっているか判断に迷うときや、手続きについて話し合いが必要になったときは、弁護士にご相談ください。
サーバーとメールがどこで動いているか
サイトを置いているサーバーの契約者が誰かと、メールがどこで動いているかを確かめます。小さな会社やお店では、サイトと同じサーバーでメールも動いていることがあります。その場合、サイトだけを移して今のサーバーの契約を終えると、メールが使えなくなることがあります。メールが別のサービス(Google や Microsoft のメールなど)で動いているなら、そのサービスの契約者とドメインの設定も確かめておきます。
サイトのデータを受け取れるか
今のサイトのデータ(ページのファイル・画像・文章、WordPress なら書き出したデータ)を、どの範囲で、いつまでに、どの形で受け取れるかを確かめます。制作会社の独自の仕組みで作られているサイトは、そのままの形では持ち出せないことがあります。その場合は、移す先で作り直すことになるのか、文章や画像だけでも受け取れるのかを先に確かめておきます。
契約書で確かめておく項目
契約書は、「書いてあるかどうか」と「何と書いてあるか」を確かめるために読みます。確かめておきたいのは次の項目です。
- 契約期間と終わる日:自動で更新される定めがあるか
- 途中でやめるときの定め:途中でやめるときに、どんなお金がかかると書いてあるか
- 解約の連絡の期限と方法:何日前・何か月前までに、どの方法(書面・メールなど)で伝えるか
- データの引き渡し:やめるときにデータを渡すと書いてあるか、範囲と時期
- 著作権の扱い:作ったサイトの権利がどちらに残ると書いてあるか
- ドメインの名義:ドメインを誰の名義で登録すると書いてあるか
著作権の書き方で気をつけたい点は、姉妹記事「ホームページ制作会社の選び方、契約前に確認したい5つのこと」でまとめています。
今の契約に「違約金」や「途中でやめるときのお金」の定めがあるか確かめる
契約によっては、最低契約期間が決まっていて、その期間の途中でやめるときのお金(違約金や解約金などと書かれていることがあります)の定めが置かれていることがあります。まずは、そうした定めがあるかどうか、あればどう書いてあるかを確かめます。その定めが御社の場合にどう当てはまるかは、契約の内容や契約したときの事情によって変わります。判断に迷うときは、弁護士(各地の弁護士会の法律相談など)にご相談ください。
リース会社を含む契約かどうかの見分け方
ホームページの契約の中には、制作会社のほかに、リース会社や信販会社が加わっている契約があります。次のような点が手がかりになります。
- 契約書の相手方(署名欄)に、制作会社とは別の会社(リース会社・信販会社)の名前がある
- 毎月の引き落としの名義が、制作会社ではなく別の会社になっている
- 契約書に「リース」「物件」「リース期間」などの語がある
- 契約期間が5年・7年など長く、ホームページの制作と保守がまとめて月額になっている
これらに当てはまる場合は、制作会社だけでなくリース会社などとの契約になっている可能性があります。この場合の途中解約や支払いの扱いは、契約の内容や契約したときの事情によって大きく変わるため、当社ではお答えできません。弁護士(各地の弁護士会の法律相談など)にご相談ください。
解約・移管にかかるお金は、3つに分けて確かめる
乗り換えにかかるお金は、まとめて考えると見えにくくなります。次の3つに分けて、それぞれ誰に聞けばよいかを整理します。
| お金の種類 | 何のお金か | どこで確かめるか |
|---|---|---|
| 今の契約を途中でやめるときのお金 | 契約期間の途中でやめるときの定めによって、かかることがあるお金 | 今の契約書 |
| データを移す作業 | 今の会社がデータを書き出して渡す作業、移す先でサイトを移す(または作り直す)作業、メールを移す作業 | 今の契約書・料金表と、移す先の見積もり |
| ドメインの移し替え | ドメインの管理事業者を移す手数料や、その後の年額の更新費用 | 移す先の事業者の料金表 |
金額を比べるときは、移す先の制作費だけでなく、この3つを足した額で考えると、あとから「思っていたより高かった」となりにくくなります。移す先の制作費の相場は「ホームページ制作費の相場と内訳」にまとめています。
当社Quickryの出口の条件(参考)
乗り換えの記事を書く以上、当社をやめるとき・当社から移すときの条件も先に出しておきます。他社さまへの質問の比較対象としても使ってください(2026年10月時点・金額は税抜を先に、カッコ内に税込を併記しています)。
| 確かめること | 当社Quickryの場合 |
|---|---|
| ドメインと公開のアカウントの名義 | サイトを公開するアカウントと独自ドメインは、最初から御社名義でご用意します。取得の手続きは当社が代行し、費用と名義は御社、管理の鍵は最初から御社のものです。当社は担当者ごとにご招待いただく形で作業し、御社のパスワードはお預かりしません |
| 保守をやめたとき | 保守をおやめになっても、サイトは御社名義の置き場所で公開が続きます(当社による見守り・更新のお手伝いはなくなります)。当社は招待を外し、見守りを終えます |
| データのお渡し | 解約から14日以内に、公開しているサイト一式(HTML・CSS・画像などのファイル)を無償でお渡しし、移し方の手順書をお付けします。当社の制作用の元データ、使わなかった素材、画像を作るときに使った指示文は含みません |
| 他社のサーバーへのお引っ越し | ご希望の場合は、代行を20,000円(税込22,000円)で承ります。WordPress への作り替えや、メールでも使っているドメインの設定の移し替えは、別にお見積りします |
| 当社でのデータの保管 | サポートが終わってから3ヶ月までです |
当社の月々払いの場合(参考)
当社の月々払いは、リース会社を通さない、当社との直接の契約です。
月々払いは12回で払い終わりです。13ヶ月目からは自動でサイト保守 月5,000円(税込5,500円)に切り替わります(事前にご案内します。保守はいつでも解約できます)。途中でやめる場合は、残りの回数分をご精算いただきます(お支払いの合計には上限があり、一括の価格にお支払い済みの回数分の一定額を足した額までです)。
月々払いの場合、サイトのデータのお渡しと権利のお移しは、お支払い(途中でおやめの場合はご精算)が済んでからです。精算が済んだ日から14日以内にデータをお渡しします。月額と一括の違いは、姉妹記事「ホームページ制作は月額と一括どっち?」にまとめています。
そのまま使えるチェックリスト
乗り換えの前に、上から順に確かめてください。
ホームページの解約・移管の手順と費用【ドメイン名義の確認から】
- ドメインの登録者(名義)が誰かを、JPRS WHOIS・管理画面・更新の請求書の宛名のどれかで確かめた
- ドメインを管理する事業者の管理画面に、御社のアカウントで入れるかを確かめた
- サイトを置いているサーバーの契約者が誰かを確かめた
- メールがどこで動いているか(サイトと同じサーバーか、別のサービスか)を確かめた
- サイトのデータを受け取れるか、範囲・形・時期を確かめた
- 契約書で、契約期間と終わる日・途中でやめるときの定め・解約の連絡の期限と方法・データの引き渡し・著作権の扱い・ドメインの名義を確かめた
- 契約書の相手方や毎月の引き落としの名義に、制作会社とは別の会社の名前がないかを確かめた
- 移す先で、サイトの表示とメールの送り・受けを確かめてから切り替える段取りになっている
- ドメインを変える場合は、古いアドレスからの転送を残す期間と、古いドメインを手放さない段取りを決めた
出典:Quickry Web相談室(https://web.quickry.jp/media/hp-cancel-transfer/)。本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的助言ではありません。
よくある失敗
- 先に解約を伝え、移す先の準備が間に合わない:ドメインやメールの扱いが決まらないまま、契約の終わりの日が来てしまう。準備と切り替えの日程を先に決めてから、契約の定めに沿って連絡しましょう
- 名義を確かめずに移す先と契約する:手続きの段階になって、今の名義人の承認が要ると分かる。名義の確認は最初の一手です
- サイトだけ移して、メールを忘れる:今のサーバーの契約を終えたら、同じサーバーで動いていたメールが使えなくなった——メールの置き場所も、サイトと同じ表で確かめておきましょう
- ドメインを変えて、古いドメインをすぐ手放す:古いアドレスからの転送が止まり、第三者に登録されるおそれも出てきます(出典:JPRS「ドメイン名の廃止に関する注意」)
- 認証コードの期限を過ぎる:日本のドメインの認証コードには35日の有効期限があり、過ぎると確認からやり直しになります。日程に余裕をもって手続きしましょう
まとめ|乗り換えは「確かめる → 準備する → 切り替える → 終える」の順で
ホームページの乗り換えで困りやすいのは、作業そのものより、順番を逆にしてしまうことです。ドメインの名義と管理のアカウント、サーバーとメール、サイトのデータ、契約書の定めを先に確かめ、移す先の準備と切り替えを済ませてから、今の契約を定めに沿って終える(解約のご連絡は、契約で決まった期限までに)。この順番を守れば、サイトとメールを止めずに移しやすくなります。
「うちの場合、何から確かめればいい?」という段階なら、乗り換えの段取り相談をご利用ください。ドメインの名義やデータの受け取り方など、確かめておきたい項目を一緒に整理します。



